男の秘密
マネージャーの木戸の所に社長から連絡があった。

電話に出ると、世界有数の時計メーカー老舗の【紫苑】（しおん）の社長から、今度売り出す時計のモデルに忍を使わせて欲しいと言われたらしい。

打ち合わせをしたいから、連絡して欲しいとの事だった。

「初めまして、斎賀忍のマネージャーの木戸と申します」

忍の様子を見にホテルに来ていた木戸は、忍の傍で指定された電話番号に電話をかける。

すると電話が転送されて社長が電話に出た。

「椎名だ。快い返事をありがとう。
　それで、今日の夜に斎賀君と打ち合わせがしたいから、７時に迎えの車をホテルに回す。
　斎賀君一人で来て欲しい」

「忍一人でですか？」

「何か問題でも？」

「いえ、分かりました。忍に伝えておきます」

「あぁ、斎賀君に挨拶がしたいんだが、近くにいるかな」

お伺いを立てているような言葉だが、話し方は変われと言っている。

「忍、椎名社長だ」

渋々自分のスマホを忍に渡す。
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