男の秘密
牙を剥く男
「日置さん、今日は松永主任お休みですか？」

誰かの声が聞こえて、画面から声のする方を見ると、今年入社したばかりの新人の子だった。

「そうみたい。体調不良なんて珍しいわよね。指示は・・・」

『松永主任休みなんだ』

松永が休みだと聞いてホッとしている自分がいる。

やはり、疑っていたからかもしれない。

自分の考えが恥ずかしくなり、気持ちを切り替える為に席を立った。

席に戻ってからは溜まっていた仕事を集中してこなす。

昼も自席でお弁当を食べながら、仕事を続けたお陰で、定時を1時間程過ぎた頃仕事が片付いた。

周りは殆ど誰もおらず、隣の日置も定時に退社していた。

『今日こそは家に帰らないと』

慌てて身支度を整え会社を後にした。
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