男の秘密
「絵を描いてるんだ。どんな絵?」

絵の話に興味を持ってくれている事が嬉しい。

「風景画です。休みの日に、公園に行ったり、電車で郊外に出かけてスケッチをしてます」

「郊外に出かけるんだ。じゃぁ、今度一緒に車で出かけようか?植物園や、フラワーパークとか」

「仕事がお忙しいでしょ?良いんですか?」

「今はちょっと楽なんだ。だから車を出す口実が出来て助かるよ」

悪戯っぽく話す忍を眩しそうに眺める。

『30歳の男性に可愛いと思ってしまうなんて』

「こちらこそ助かります。電車やバスだと不便な所があるんです。

 あ、お礼と言っては難ですけど、お弁当を作りますね」

「それは楽しみだな」

「盛り上がってるなぁ。  はいお待ち」

そこに隆司が料理を持ってやって来た。

「わぁ。美味しそう。料理はお一人で作られてるんですか?」

運ばれた料理から食欲をそそる匂いが鼻を擽る。

その料理に目を輝かせながら優が聞いた。

「さやかも作るよ。彼女は主にスイーツ担当だけど」

「楽しみです」
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