男の秘密
『何だかどっと疲れたわ』

昼食の時の羽奈との会話を思い出し、疲れを感じた優は休憩する為に立ち上がった。

『月末処理が沢山あって、やってもやっても終わらない気がする』

月末以外は十時と三時にコーヒーの希望を聞いて入れたりするのだが、流石にこう忙しくては、自分の休憩時間すら思うように取れない。

給湯室に入る前に、時計を見ると16時を回っていた。

『今日は残業かな』

そんな事を考えながら、コーヒーメーカーでコーヒーの準備をしていると、後ろから声がした。

「斉藤さんも休憩?」

気配に気付かず、驚いて振り向くと松永主任が立っていた。

「主任もですか?コーヒー入れましょうか?」

「あぁお願いしようかな」

主任に背を向け、コーヒーの準備を始めるが、松永の視線が気になる。

「主任。出来たらコーヒーをお持ちしますよ」

『主任が後ろに居ると、緊張するわ』

「昨日は同期会に行かなかったんですね」

「え?えぇ。用事があって・・・」

「珍しいですね。同期会に出ないなんて」

「良くご存知ですね」

「あぁ、良く待ち合わせをしている所を見るからね」

『あれ?社内で待ち合わせってしてないような・・・』

「あの・・」

「主任!」

優が待ち合わせの事を聞こうとした時、主任が呼ばれて給湯室から離れた。

『呼びに来る事もあるからよね?』

コーヒーが出来たので、主任の席に持って行き、自分は席について仕事を再開した。
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