男の秘密
「あ、あの忍さん。」

「ん?」

「・・手を離して下さい」

いよいよ足に力が入らなくなって来たので、手を離してもらうようにお願いする。

抱きしめていた腕を放されると少しふらつく。

「大丈夫?」

もう一度手を伸ばそうとするので、慌てて断る。

「あ・・」

払い除けてしまったので、気を悪くしていないかと、慌てて忍を見上げた。

忍は優しい顔をしていたので、優もホッとした。

「そろそろ帰ろうか」

忍の言葉に素直に頷き、自宅に送ってもらった。






『全然実感が湧かない』

ふわふわとして、地に足が着いていないような感覚で自宅に戻った。

荷物を片付けないとと思いつつ、そのままベッドに倒れこむ。

一日中ジェットコースターに乗っているかのように、気持ちが上がったり下がったりして、思いの他疲れていたようだ。

倒れこんだままいつの間にか眠り込んでいた。
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