男の秘密
久しぶりに食堂で羽奈と食事をする事になったので、先に席を取って待っていた。

「「斉藤(さん)!久しぶり!」」

「加藤君、吉田君」

同期の加藤と吉田が昼の定食を持って優に近づいて来た。

「この前の同期会来なかったもんね」

席に着いた吉田が苦笑している。

「どうして笑ってるの?」

理由が分からず戸惑う。

「加藤が・・」

「何でもない!」

吉田の言葉を遮るように加藤が乱暴に言葉を重ねる。

「ちょっと。凄く目立ってるんですけど」

声のする方を三人同時に見ると、羽奈がから揚げ定食を持って立っていた。

まわりも、加藤の大きな声に「なんだ?」と不思議そうな顔でこちらを見ている。

「麻生お前、見かけによらずガッツリ食うな」

呆れたように加藤が話すのを無視して優の隣に座り、食事を始める。

優も慌ててお弁当を開いて食べ始める。

「加藤、優が来ないからってテンション低いのよ。」

「おま!何話してるんだ!?」

真っ赤になって叫びだす加藤に、耳を塞ぐ仕草で煩いと講義する羽奈。

また、辺りを気にして見るが、今度は誰も見ていなかった。

「ホントの事だろ。」

吉田にも突っ込まれ加藤は慌てふためいている。
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