男の秘密
思い出し作業に疲れ、壁に寄り添うようにもたれた。

コトン

頭の当たる小さな音が部屋に響く。

「ん・・・」

その音で優が身じろぎをした。

そして、ゆっくり目を開け伏せていた頭を上げる。

「あれ?! 居ない!?」

慌てて布団を確認しているようだ。

そしてキョロキョロと辺りを見回し、忍に気づく。

優が安堵の表情を浮かべた。

「よかったぁ。目が覚めたんですね。体調はどうですか?」

花が咲いたように笑ってそう話しかけてくる優に、忍はドキリとした。

言葉を失い、ぼんやりと優の顔を見ていた所為で、優の行動に気づくのが遅れた。

「!?」

ベッドに片膝を付き距離を詰めた優の、ひんやりとした手が額に触れる。

「やっぱりまだ熱が高いですね。」

心配そうに覗き込む優の顔をただ呆然と見ていた。

我に返った忍は驚いた表情をする。

「手、冷たかったですか?」

不安げに聞く優。

「いや・・・。気持ちいい位だ」

その言葉にホッとした顔をして優は「良かった」と小さく呟いた。
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