一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
交友関係とかないと思っていたけど、野田専務とは研究者同士話が合うのかもしれない。

ただ、推進課の存続に関わっている耀と野田専務が繋がっているとなると少しやりにくい。

ふたりに気付かれないようこっそりと菅原くんを見れば、彼も私を見ていた。

でも里香と耀が話すキッカケにはなったようだ。


「野田専務の研究ってそんなにすごいんですか?野田専務ってプライベートではどんな方ですか?趣味とかあるんですか?」


里香の矢継ぎ早の質問が飛ぶ。

なぜそこまで野田専務のことを知りたいのか、そこは分かりかねるけど、耀もしどろもどろになりながらも研究内容を出来る限り分かりやすく説明しているから会話が成り立っている。

これはこれで良かったのかもしれない。

そう思いながら続々と運ばれて来る食事をぐちゃぐちゃにしないよう気を付けつつ、適当にお皿に取り分け、耀の話に耳を傾ける。


「野田専務は愛妻家です」


野田専務の奥様は営業課に所属している。

野田専務の年齢が56歳だから結婚20年として36年前。

その頃にはまだ推進課はない。

つまり普通の社内恋愛。

それなのになぜ社内恋愛を否定するのか。

いや、社内恋愛自体は否定していなかった。

推進課に人材を割いているのが無駄だと言ったのだ。
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