一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました

『耀はエンパス体質と言ってひとの気持ちに左右されて具合が悪くなってしまうんだ』


つまり俺の存在自体が耀の具合を悪くするってことか?

俺のせい?


『いや、それは優だけじゃない。わたしたち親であっても、耀を心配すればするほど耀の具合は悪くなってしまうんだよ。そんな耀にとっていちばんいい治療法はひとりにさせることなんだ』


なるほど…なんて、そんなこと言われてすぐには納得出来るはずなかった。

だってそうだろ。

隔離するような生活なんて、耀は一生ひとりになってしまう。

耀は友達と遊びたい、恋をしたいと願って一生懸命具合の悪さと戦っていたんだから。

それに愛情をたっぷり注いでくれていた母親からも離されるなんて、そんなのあまりにかわいそうだった。

俺は声を出して泣いた。

ただ冷静になって考えてみれば思い当たることはあったんだ。


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