一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
ーーーつまり耀が今、具合が悪くなったのは私たちと関わったことが原因と言うこと?
でも本心を隠し、気持ちを押し殺し、本音を建前にするなんて普通のことだ。
偽りの姿も、内に秘める想いも、人と上手く関わっていく上では必要なことで、自分を偽らずに素直な言動をしている人なんて、いたとしても少数派だし、みんながみんな裏表のない言動をしていては争いが絶えなくなる。
「きみたちにもそれぞれ思うところがあるようだな」
優は俯いている里香を見てそう言った。
でも私たちだけの問題なのだろうか。
そもそもなぜ耀は自分の体質を分かっていながらなぜ私たちと食事に来たのか。
「私が無理に誘ったから?」
ポツリと呟くと優が寝ている耀の方を見ながら言った。
「耀は人と関わりたくないわけじゃない。むしろ反動で人と関わりたいと思ってる。強引にでも誘われれば嬉しいんだ。恋も、本当はしたいんだ。バーベキューに参加したのもそれが理由だろう」
「それは違います。耀さんの参加次第で優さんが参加する、って言ったからです」
耀は恋愛に幸せは求めていないとハッキリ言った。
そのことを伝えると優はフッと小さく笑った。