一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました

「バカだな。あんなの断る口実だったのに。飲んだこともない酒まで飲んで気を紛らわせて」


優の言葉に耀の言葉が重なった。

耀の体質はお酒を飲むことでその体質自体が弱まるらしい。

なるほど。

ひとつ疑問は解消された。

ただ疑問はまだまだたくさんある。


「あの格好は?人を寄せ付けないためにしてるんですか?」

「それと感情に耐えられるためだ。『キモい』と思われることを元々想定していれば受けるショックは少ないからな」


そんな…

なにが楽しくて過ごしているの?


「だから耀さんは些細なことで笑うの?」


独り言のように言うと優の眉間にシワが寄った。


「耀が笑ったところを見たことがあるのか?」

「え?えぇ。ね、里香も見たよね?」


バーベキューの時に里香も見ている。

話を振れば小さく頷いた。


「でも…」


里香は小さな声で否定語を口にした。

でもそのまま黙ってしまったので別の質問を優に投げ掛ける。


「なぜ耀さんは就職したんですか?」

「耀なりの親孝行だ」
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