一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
里香サイド
異性に好かれ、同性に嫌われるタイプの私は今まで何度となく恋愛のゴタゴタに巻き込まれ、友達だと思っていた子たちからいつのまにか煙たがられ、ハブられ、裏切られてきた。
故意的に何かをしている訳ではない。
それなのに異性に好かれ、同性に嫌われてしまう。
これを、こんな生活をなんとかしたかった。
だから就職先は仕事に夢中で見た目とか恋愛とか、そんなものに左右されない、倍率が高い、実力者しか入社出来ない会社のみを受けた。
でも現実は違った。
唯一受かったこの会社での扱いは在学中と何ら変わりない。
いや、社内恋愛を推進してる分、余計に悪かった。
さすがに学生とは違い、表立って態度に出されることはなかったけど、意中の相手が『佐々木さんが好きだ』とかなんとか言って私の名前を出そうものなら、知らないところから敵意を向けられることは度々あった。
事前に会社の内部事情をきちんと調べるべきだったのに調べなかった私が悪い。
辞めてしまおうか。
でもせっかく入社出来たのだから『外部に恋人がいる』と嘘をついて自分の居場所を確保すればいい。
それは誰にも靡かない正当な理由になる。
無意味に敵視されることもなくなる。
本当は今まで誰とも付き合ったこともなければ、好きになった人もいないけど、それでもついた嘘は意外と突き通せた。
先輩が私を守ってくれたから。