一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
「順調だね」
耀、優、そして里香のことが気にならない訳ではない。
ただ今は3人と話すだけの考えがまだまとまらない。
中途半端な状態では耀たちのことも、婚活も全て中途半端になりそうだ。
だから一旦別なことに頭を向けて、気持ちを切り替える。
目の前にあることを全力でやる。
とにかく、この婚活を成功させる。
「だからね、あとは菅原くんにテニスを教えるだけ。ということで行くよ、菅原くん」
「なんで俺が…」
運動が嫌いという菅原くんを半ば強制的に夜のテニスコートに誘い、ラケットを握らせる。
「ていうかさ、運営側の俺がテニスやる必要なくない?」
「そんなことないよ。初心者に私が教えている間、経験者はヒマでしょ?だから菅原くんにボール出しをしてもらって、順番に打ち返してもらうの。だからボール出しが出来る程度にはなっておかないとね」
課長も蓮見さんもテニスの経験がない。
となると必然的に覚えなければならないのは若い菅原くんなのだ。
「はー…大変だなぁ…」
肩を落とす菅原くんだけど、運動が嫌いと言っている割に上達が早い。
時間をかけることなくラリーが続く。