一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました

「推進課として、なんてことは聞いてないよ。美羽ちゃん自身が耀さんと恋愛出来るか、聞いてるんだよ」


いつになく真剣な菅原くんに戸惑い、返す言葉がすぐに出てこない。

そんな私に菅原くんは同じことを聞いてきた。


「美羽ちゃんは耀さんの体質を知って、そういう人と恋愛したいと思った?」

「…嫌なところ突くね」


正直、難しいと思った。

相手の気持ちを汲み取れる耀のことだから、相手が本気で自分を好きなのかどうか分かってしまう。

つまり中途半端な付き合いは出来ないということだ。

怒りや憎しみと言った負の感情を持たないなんて出来ないし、自分のせいで恋人の具合が悪くなるなんて自分を許せなくなりそうで怖い。

安易に耀に近付けない優の気持ちがとてもよく分かる。

実際、私は耀の体質を知ってしまってから、彼の前に姿を見せられずにいる。

耀のためにハーブの資料まとめてあるのに、それを届けられずにいるのだ。

約束したから本当は今すぐにでも届けたいのに、怖い。

自分の裏の顔を見られるんじゃないかとビクビクしてしまいそうだし、そう思っていることを悟られてしまうと考えるだけでとても怖いんだ。
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