一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
「なにそれ」
「美羽ちゃんはほんと、バカっていうか疎いんだよね。よく推進課でやってけてるよ」
菅原くんは呆れたようにそう言うと私の顔をジッと見つめてきた。
まるで心を見透かすような真っ直ぐな視線。
それでも逸らさず見つめ返すと、菅原くんの方が先に逸らし、両腕を後頭部にまで持ち上げ、「あーあ」という投げやりな声を出した。
「なに?」
「いや。ただなんだかなー、と思っただけ」
曖昧な答えばかり。
「きちんと教えてよ」
そう詰め寄ると菅原くんは腕を下ろし、ハーっと大きなため息を吐いてからどこか遠くを見て言った。
「美羽ちゃん次第なんだよ。美羽ちゃんが近付けばきっと上手くいく。なにもかも。美羽ちゃん次第なんだ」