一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました

「君たちはどう思いますか?無意味なことをしていると思いますか?」


この問いかけに私、菅原くん、蓮見さんが一斉に課長の方を向く。

里香から推進課がなくなるという話を聞いた翌日、話しをして、その時点で自分たちがどうしたいのか、推進課をどうしたいのか、すでに意見をまとめていたのだ。

部下の視線を受け止めた課長は一度大きく頷いた。

そして一歩前に出て会長を見据えはっきりと言った。


「私たちは、この課は必要だと考えています」


おかしな部署だけど、堂々と社内恋愛できることは利点が多い。

まず出社すること自体が楽しくなる。

そして意中の相手によいところを見せたいために仕事を頑張る。

会社の業績は必然的に上がる。


「そんなの憶測に過ぎない。君たちのような優秀な人材がいれば普通に業績アップに繋がるだろう」


あげ足を取るような野田専務の言葉を課長はさらりと流し、続けた。


「他にも寿退社が他社と比較して圧倒的に少ないということがあります。夫となるものが妻の仕事を頑張る姿を目にしているからこそ、仕事を続けたいと願う妻に反対する人が少ないのです。託児所を完備しているのもあるかもしれませんが、昨今、当社では寿退社という言葉が死語になっているくらいです」

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