一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
「でもこの姿でなければどうです?気持ち悪いって思いませんでしたか?」
「それはないです。私は人のことを言えた容姿は持ち合わせていませんから」
これに対して耀は慌てて否定しようと顔を上げた。
でも前にも話した通り、親は可愛いがってくれてるし、困ったこともないから気にしてはいない。
耀が口を開く前に言葉を発する。
「耀さんこそ、私なんかに触れられてイヤな思いをしませんでしたか?」
手に触れ、手を繋ぎ、頭にまで触れてしまった今、聞くのも変だけど、私は耀のように相手の気持ちが分かるわけではない。
きちんと聞くと耀は机の上に置いていた私の手を恐る恐る取った。
「僕は異性の方に触れたことがありません。こんな僕に触れられて気持ち悪いって思われたらどうしよう。そう思っていたから、触れるのが怖かったんです」
手が小刻みに震えている。
耀の不安が私に伝わる。
でもそれもつかの間。
ギュッと私の手を握り締めた耀はしっかりと私の目を見て言った。
「それでも僕は吉木さんに触れたい。先程吉木さんの温もりに触れて、ドキドキするのと同じくらい安心する僕がいたんです。今もやはり緊張しますが、吉木さんの温もりが愛おしいです」
真剣な表情と正直な言葉に胸が熱くなる。
それに嬉しい。
もしかしたら私でなくても案外、耀は人の温もりに触れて好きになるのかもしれない。
身なりさえ整えれば誰もが振り返るイケメンだし。
それでも私を好きだと言ってくれるその気持ちに応えたい。