一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
「わ、私、そろそろ仕事に戻らないと」
なんて、下心がバレないように慌てて研究室を出る。
でも耀の男性的な腕と初々しい感じのギャップにドキドキさせられてしまい、仕事に集中出来ない。
これではいけない。
大きく深呼吸して去年の花火大会の企画書をパソコン上に呼び出す。
「着付けは私、髪は蓮見さんと菅原くん。これは変わらないとして、あともう一捻り、なにか案があるといいよなー」
独りごちながら他社の婚活サイトを参考にする。
「花火大会か。ね、それ、私も参加していい?」
「え?わ!びっくりした!」
急に耳元で声を掛けられて驚いて仰け反ると、そこには超絶美人の里香がいた。
「久しぶり」
「ほんと」
微妙な空気が流れる。
優から耀の話を聞いた日からなんとなく里香と関わることを避けてしまっていた。
「今日、時間ある?」
里香に誘われて首を縦に振るもいつものお店で向かい合わせに座るのはお互いに気まずくて、初めてカウンターで飲むことにした。
「私、美羽に謝らないといけないよね」
注文を済ませてから口火を切ったのは里香だ。
チラッと横目で里香を見るといつもと同じように綺麗な里香は膝に手を当て、姿勢良く真っ直ぐ前を向いていた。