一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
女性にとって働きやすく在籍しやすい、とても良い環境の会社だ。


「そのせいで新しい人材の確保が難しくなっているのは知らないのか?」


野田専務の言うことは一理ある。

倍率が高いのはなかなか辞めないからだ。

でも短期間で辞められてしまうより、長く勤めてくれることのほうが社にとってはるかに有益だ。

それは野田専務もわかっているようで、それ以上、強くは言わなかった。


「そしてなにより会長の想いを大切にしたいのです」


私たち全員一致の考えを課長が言った途端、野田専務の顔色が変わった。


「それをこの場で言うのは卑怯だ!」


たしかに会長がいる前で言うのは卑怯だったかもしれない。

でも社内恋愛推進課は会長が作った課。

本来、課の存続は会長の意思に沿うもののはず。

私たちは会長に目を向けた。


「デメリットは」


会長に代わって社長が訊ねた問いに課長が素早く返答する。


「別れたあとも顔を毎日合わせなくてはならなくなるので険悪な雰囲気になること、嫉妬が起きること、恋愛に目が向きがちになってしまうことです」
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