一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
その理由を里香は口にした。


「優さんがね、『想うだけでいいと思える想いは恋じゃないから野田専務のことは好きじゃないんだ。ただ力になりたいなら将来的に俺の秘書になれ。そうすれば結果的に野田専務や会社のためになる』って言ったの。あの人の思考、短絡的で付いていけないけど、それもそうかってなんか納得しちゃったのよ」


プッと笑った里香はとても楽しそうな明るい表情で見ているこっちも楽しくなってきた。


「優さんと何回か会ってるの?」


詳しく聞けば強引な優に誘われてすでに三回、食事に行ったらしい。

そのことを話す里香の様子は満更でもない。


「優さんの話をする里香って可愛いね」

「なに言ってんの!あんな人、好きになんてならないんだから。だから花火大会、参加するからね」


本当は参加なんてしないくせに。

花火大会に触れたのは私があの時、調べていたからだ。

きっかけとして花火大会って言ったことくらい、耀のようなエンパス体質がなくても分かる。

いや、それほど里香は分かりやすくなったのかもしれない。


「優さんくらい強引な人が本音を隠しやすい里香には合ってたんだね」
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