一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
難攻不落の里香の恋路は推進課の職員としては勉強になる。

でも優のような強引な男性は少ない。


「優さんみたいな人ばかりだったら推進課必要ないものね」


里香の言う通りかもしれない。

男性に限らず女性も積極的なら婚活という名の活動自体、必要なくなるのだろう。

でもみんなが積極的になるなんて、そんなこと不可能なわけで、推進課はやはり必要部署なんだ。


「野田専務がなー…あっ!ごめん。なんでもない」


思わず名前を出してしまった。

ビールを飲むことで誤魔化してみたけど、里香の前で憧れの人の名前は聞き逃されない。


「野田専務がどうしたの?」


そう聞いてきた。


「あー、ほら、里香前に言ってたでしょ?反対派の頭だって」


嘘にならない程度にさり気なく話を誤魔化す。


「反対派が集結されると困るなーって話し。ほら、里香も社内恋愛になるかもしれないでしょ?」

「私は…!」


顔を真っ赤にする里香を見て、個人情報ダダ漏れパソコンに恋人登録して来る日も近い気がした。

ニヤリと笑って見せると思いっきり顔を手で押し退けられたけど。

ただ野田専務のことを好きだった里香にこの話を出したのは正解だった。

社内恋愛に反対なのは野田専務の奥様の方なのだという情報を得られたのだ。

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