一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
「驚いたね」
自席に戻り、菅原くんにコソッと言うも、菅原くんは呆れた表情で私を見て言った。
「なんで美羽ちゃん、付き合ってること登録しておかなかったの?課長にも話してないとか、なんで?」
菅原くんの問い掛けに少しの間を置いて答える。
「推進課の存続のため、って思われたら嫌だから。耀さんにも話してないし」
「それは課長が話していいって言ってたじゃん」
気持ちが落ち着いた課長は咳払いの後に言った。
『耀さんに当課の事情をお話しして構いません』
それはつまり事情を話した上での付き合いをしろと言うことで、事情と感情は違うことを耀に分かって貰わないといけないということだった。
『ふたりの幸せが課の問題で壊れてはいけません』
課長の優しさが身に染みた。
でも大丈夫だ。
「耀さんは私の気持ちが分かる。あの体質だもの。菅原くんならこの意味分かるよね?」
「あぁ。美羽ちゃんは耀さんにベタ惚れだもんね」
菅原くんはため息混じりに言うと1度目を閉じてから柔らかな笑みを浮かべて続けた。
「耀さんもあの体質上、美羽ちゃんが課を守るために社交的に付き合っているわけではないということは分かるだろうし、耀さんの父親である社長、そして祖父の会長もまた理解してくれるよ」
ただやはり問題は野田専務だ。
私と耀の付き合いを課のためだと言いかねない。