一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
「野田専務は耀さんの体質のこと知ってるんですか?」
1週間後。
時間が出来たので食事に行きませんか、と誘われたのを良いことに、耀に聞いてみた。
「野田専務がどうかしたんですか?」
「あ、そうですね」
突然野田専務の名前を出せばなにかかんぐるのも無理はない。
課長からの許しを得ていることだ。
順を追って話すとその間、耀は先に届いたカルピスサワーを一口も飲まず、聞き入り、そして大きくひとつ頷いた。
「驚かないんですか?」
耀が恋愛をするかどうかで推進課の存続が決まると言ったのに。
「推進課の課長さんから呼び出された時点で何かあると思っていましたから。それに恋愛体質な父が考えそうなことです」
フッと笑う耀は社長が恋多き男性だったという話をしてくれた。
もっとも年老いてもなおイケメンの社長のことだ。
若い頃はモテたに違いない。
その中で社長の妻の座を得た耀の母親はある意味興味深い。
「近いうちに紹介します」
「あ、ありがとうございます」
図らずとも紹介という言葉を聞けるなんて。
緊張するけど嬉しい。
ニコリと微笑めば耀もまた微笑んだ。
そして同時に飲み物を口にし、机に置く。
「えっと、それで野田専務のことですよね?」
「はい」