一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました


「シーフードピザお待ちどうさま…って、すみません!」


店員さんに見られてしまった。

耀の体質を考えて個室のある店を選んでいるのは間違いかもしれない。

慌てて離れるも、微妙な空気が漂う。

でも互いに意識してる感じはくすぐったくて、思わず口元が緩む。

向かいの席に戻った耀を伺い見れば彼もまたはにかんでいた。


「その照れた顔、すごく好きです」


サラリと言うと耀は驚いたように目を見開き、整えられていた前髪をクシャクシャっと崩し、赤くなる顔を隠した。


「今日のその髪、菅原くんに頼んだんですか?」

「え?あ、違います。菅原さんの見よう見まねです」


たった一度見ただけで覚えたのか。

なんて記憶力と器用さだろう。

そういえば耀の頭脳は飛び抜けていたと優が言っていたことを思い出す。

私なんて馬鹿に見えるんだろうな、なんてそんなことを思ってピザに手を伸ばすと、いつかのように耀が大きな声を上げた。
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