一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
微動だにしない会長に向けて課長が続ける。


「最初と最後の問題に関してですが、先ほど野田専務から説明がありましたように、私たちが持ち合わせている得意分野でフォローしています」

「というと?」


社長が合いの手を入れた。


「失恋や恋に病み、仕事にならない人の代わりになっています。休みたいと言えばその空いた穴は埋めるし、仕事にならないようなら代わりに手伝います。ミスが起きるのが最も社にとって不利益になりますので。これが出来るのはどの部署のバックアップにもなれる人材を確保しているからこそです」

「なるほど。きみたちは適材適所の部署にいると言う訳か」


課長の説明に納得した社長に対し、野田専務が立ち上がり否定した。


「失恋ごときでミスするような公私の区別がつけられない人材が無能なだけです。バックアップだなんて。良く言ったものだ。バックアップが出来るほど優秀ならきみたちはもっと現場で活躍するべきだろう」


そこまで言うと野田専務は会長の方を見て続けた。


「わたしは社内恋愛を禁止しろとは言っていません。ただ推進することと推進課に人員を割いていることが解せないだけなんです」


それは至極真っ当な意見だ。
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