一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
「そうか!やはりか!良かった!本当に良かった!耀にも恋が出来たんだな!提案して良かった!」
破顔して喜ぶ社長を目にして、少しの気まずさはあるけど私まで嬉しくなる。
耀もとても嬉しそうだし。
「よし!今日は祝杯だ!吉木さん、母屋の方に寄って行きなさい」
「でも」
普段からメイクは薄いからスッピンであることは気にしないにしても、挨拶をするにはあまりにひどい。
でも社長は社長命令だと言って、私たちを社長宅へと無理矢理連れて行った。
「母さん!母さん!」
社長に腕を引っぱられて来た私と耀は事態が飲み込めない奥様を前に、玄関先で挨拶することになった。
「すみません。夜分遅くに」
色白でふくよかで緩くパーマのかかったボブスタイルの耀のお母さんは来客なんてあるものと思っていないわけで、すでにパジャマ姿だ。
社長命令とは言え、申し訳ないにも程がある。
なるべく視線をパジャマに合わせないようにしていると、空気を読まない社長の大きな声が広い玄関ホールに響いた。
「彼女は吉木さんと言ってな、推進課の職員なんだが、耀の、耀の恋人なんだよ」
「え?本当に?本当に耀に恋人が?」
パジャマ姿から目を逸らしていた私とは対象的に奥様は私を興味津々に見てくる。