一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
ただ、先程課長が説明した通り、私たち推進課の存在も不必要とは言い難く。

イタチごっこになってしまう、この案件は打開策がない。

それに気付いた社長がポンと手を打った。


「それなら課題を出しましょう。彼らの存在意味を彼らの手で証明してもらいましょう」


社長の提案に野田専務が眉間にシワを寄せた。


「野田専務は彼らには他部署で活躍すべきだと言う。つまり彼らには推進課で働く意味がないと言うことですよね?」


少し論点が違う気もするけど野田専務の言っていることと遜色ない。


「えぇ、まぁ、そうですね」


野田専務は首をひねりながらも歯切れ悪く答えた。

それに対して社長はニコリと微笑んで課題の詳細を述べた。


「ではこうしましょう。わたしの子供、双子の下の子の方ですが、あの子は恋愛に全く興味がありません。ですが、わたしとしてはあの子に恋愛をさせてあげたい。この会社を守っていくには伴侶の存在は大事ですからね。なので、彼に恋をさせてみせることができたら彼らには推進課での実力もあるということになり、推進課も役に立つと判断する。これはどうです?」

「弟の方…?あぁ、ハハ。いや、彼に恋愛させるのは無理でしょう」


鼻で笑った野田専務はどうやら当該人物のことを知っているようだ。


「今年大学院を卒業して入社したという社長の息子さんですよね?なにか問題でもあるのですか?」


蓮見さんが社長に問い掛けると野田専務が捕捉情報をくれた。


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