一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
「あなたは優しい人ね。あなたをお父さんにしてあげたかった。ごめんなさいね」
「お前が謝ることじゃないだろ」
「ううん。私のせい。子供が欲しければ養子だって良かった。でも私はそこまでしなかった。妊婦に憧れてただけなの。ごめんなさい」
謝る優子さんを野田専務は複雑な表情で見ていた。
でも優子さんの表情は明るく、野田専務に笑顔を向けた。
「私は幸せよ。仕事をバリバリ出来て、あなたと旅行に行けて、楽しい時間を過ごせて。あなたは違う?」
「違わないが…推進課は…」
私の方をチラッと見て言葉を飲んだ野田専務に視線を正し、推進課を代表して解決策を口にする。
「社内恋愛推進課のせいで傷付く人がいるというご指摘。まったくその通りです。ですので、その傷を癒す手伝いをさらに強化しようと考えています。それと他にも。社内でストレスを感じているならその捌け口になります」
「どうやって?」
優子さんの質問に声を大にして答える。
「私はカウンセリングの勉強をして企業内カウンセラーの資格を取ります」
あの日、社長宅で私は社長に勉強をする時間を欲しいと願い出た。