一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
「分からない、ことないですよね?」
確認するも耀はプイッと顔を背けた。
「分かってても他の男をカッコいい、って言うのは聞きたくないものです。大体、僕には言ってくれないじゃないですか」
「分かってるものだと思ってるから」
「エスパーではないんです。吉木さんの考えてることは分かりませんよ」
拗ねるように怒る耀を見て、愛されてるのだと実感してしまう私はズルいのだろう。
でもなんか嬉しくてニヤつく口元を押さえるとそれまで黙っていた菅原くんが大きくため息を吐いた。
「やんなっちゃうなー。見せつけるのは結婚式だけにしてよ」
「あ、ごめん」
私はまた無神経なことをしてしまった。
菅原くんは私のこと好きだった(らしい)のに。
「あ、気にしないで。俺、もう恋人いるから」
私の気持ちを読んだ菅原くんはスマートフォンを取り出し、仲睦まじい恋人との写真を見せてくれた。
「幸せそう」
「美羽ちゃんと耀さんには負けるけど。でも社内恋愛は俺にとって朝飯前なんだよねー」
満面の笑みで親指を立ててぱちっとウインクした菅原くん。
その明るさにつられて、私と耀の顔にも笑みが浮かんだ。