一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
推進課詳細
「…なんて社内規則では謳っているけど、実際昇進していく人は社内恋愛の末、結婚した人たちばかりよね」
居酒屋の座敷で肩まであるサラサラの茶髪をシュシュで簡単にまとめ、好物のエイヒレをつまみに日本酒を煽り、愚痴をこぼすのは同期で親友の佐々木里香、27歳。
くっきり二重の大きな瞳、ファンデーション要らずの陶器のような肌、リップだけで潤う赤い唇、そこから覗く白く綺麗な歯と抜群のプロポーション。
嫌味なほど完璧な里香は、出世に響く社内恋愛が気に入らないらしい。
「変な社則のせいで実力不足の男が昇進しちゃったじゃない」
つい先日の人事で同期の男性が社内結婚を機に昇進した。
それは妥当な人事であるはずだが、里香は納得いかない様子だ。
「男女差別はないし、職場環境は良好。給料だって文句なし。だけど唯一の欠点が社内恋愛の推進」
エイヒレにマヨネーズを付けるも、口に運ばない里香の手からエイヒレを取り「会長の意向だから」と言うと、里香は入社式の時に受けた説明を復習するかのように言葉を発した。