一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
前髪に覆われていない高い鼻筋と薄めの唇と色白の肌をアーモンド型の瞳に合わせれば相当の美形が出来上がる。

それとも隠してる訳じゃないのだろうか。

見た目に無頓着なだけ?

どちらにしろもったいない。

そこを本人に伝えても良いだろうかと悩む私の隣で課長が先にもう一度同じことを耀に伝えた。


「お兄様は社内で伴侶を見つけたいと言っています。それには弟の耀さんがイベントに参加するなら出ると言っているのですが、協力しては頂けませんか」


さすが、課長。

弟次第でイベントに参加すると言ったのを利用したこの提案は断りにくい。

それに優も参加して相手を見つけてくれたら一石二鳥だ。


「でも…」


なかなか首を縦に振らないのは兄弟似ている。

ただ課の存続を背負っている課長は折れない。

ここぞとばかりに質問を投げかけた。


「耀さんは恋愛や出世に興味はありませんか?」


耀は唇を噛み締めるとまた俯いてしまった。

推進課からの呼び出しで恋愛絡みの話題であることは予想していただろうけど、兄の話から自分に矛先が向けられ、困惑している様子が見受けられる。

そこに課長が追い打ちをかけて行く。

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