一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました

「美羽ちゃんには俺がいるから大丈夫だってご両親に言っておきなよ!」


菅原くんにパチっとウインクされてアピールされても全く心に響かないのはなんでだろう。

私が好きなタイプのイケメン顔なのに。

あぁ。

軽いノリとおちゃらけた仕草が言葉の重みを半減させているんだ。


小さくため息をひとつ吐いて、「耀さんのことですが」と、逸れた話を戻す。


「世間では親が婚活し、子供たちに薦めるパターンがあるそうです。社長がそのことを知り、考えていたかは疑問ですが、今後、社長と耀さんのように自身は恋愛に関心がなくとも親が結婚を望むパターンは出てくる可能性はあると思います」


入社式に親が付いて来るような時代だ。

恋愛に親が関与しても全然おかしくない。

そこは課長も理解を示してくれた。


「吉木さんの言う通りですね。今回のことは推進課の進退に限らず、今後の在り方に大いに関わってくるものとなるでしょう」


課長の言葉に蓮見さんも頷いてくれた。

ただ菅原くんだけはやはり納得いかないのか首を傾げている。

それでも特に反論はないので蓮見さんが菅原くんに意見を求めた。


「見た目を変えられず、過剰な世話も出来ず、恋に後ろ向きな男性を菅原くんならどうする?」

「そうっすねぇ」


顎に手を添え、考える素振りを見せた菅原くんは軽い口調で呟いた。


「あのタイプでも受け入れてくれる女性を探す方が早いんじゃないっすかね?」


なるほど。

それなら…
 
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