一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました

「何で私が婚活イベントに参加しなきゃいけないのよ」


里香の眉間に寄せられた縦皺を見て「美人が台無しだよ」と言いたいのを堪え、手酌している熱燗を奪い、お酌する。


「会長のお孫さんが参加するんだよね。カッコイイと思わない？ステータスも申し分ないし」


努めてテンションを高くしたのに、里香の表情は変わらない。


「そんな理由で男を選ばない」


一蹴されてしまった。


「ごめん、里香はイケメンだからって興味を持つわけじゃないんだよね」


コクっと頷いた里香を見て、口元が緩みそうになるのをビールジョッキで隠す。

そんな私から里香はジョッキを取り上げて言った。


「美羽には悪いけど私は基本、イベントに参加しないわよ。そもそも、参加は強制しないっていつも美羽が言ってるじゃない」


たしかに里香に好意を寄せている人との橋渡しはしても、イベントへの参加は自由意思として強制したことはない。

でも今回だけは状況が違う。

ひとを見た目で判断することも、されることも嫌がっている里香なら、きっと耀を受け入れてくれる。

そう思ったんだ。