一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
近くにいる菅原くんに会話を聞くようインカムで連絡すると、その輪の中に自然な感じで入り込み、しばらくして戻ってきた。


「どうだった?!」


蓮見さんと身を乗り出して聞くと、菅原くんは私たちの圧を避けるように両手を顔の前に出した。


「近いっす」

「ごめん」


慌てて距離を置くと菅原くんはスポーツドリンクを一口飲んでからひとこと、楽しそうだったと報告した。


「もっと具体的に!」


問い詰める蓮見さんに菅原くんはまた身を引いてから話しはじめた。


「耀さんが持っていた日焼け止めが話のネタになってました」

「それは…いろんな意味で意外ね」


蓮見さんは耀が日焼け止めを持っていることを意外と言っているようだ。

でもそんなことないと私は思う。


「火起こしの時、耀さんは服装のことを話す際、日焼けについて触れていましたよね?日焼けしたくない理由があるんじゃないんですかね?」


菅原くんに聞けば、その通りだとひとつ頷いた。


「耀さんは肌が弱いらしいんす。そこで耀さんが今、巷で話題の日焼け止めを塗っていたのを目敏く見つけた女性が気になって近付いたらしいっすよ。しかもそれがいい匂いなんすよー」


手の甲を鼻先にかざしてきたのでそれを嗅ぐとアロマの優しい香りが漂ってきた。
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