一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
「わぁ、いい匂い」
目を閉じてウットリと香りに酔いしれる蓮見さんに菅原くんは満足そうに頷いた。
「女性たちが、これに食いつかないわけないですよね」
「そうだね」
同調するもなにやら疑わしい目で見られた。
「なに?」
「いや、美羽ちゃんのことだからこのアロマの成分は…とかうんちく言うのかな、と思ったんだけど」
つい最近、アロマ検定一級を取得した。
その勉強のために暇さえあればアロマの香りを嗅いでその成分を口に出していたけど、ここでその話をしたりしない。
今大事なのは耀のことなんだから。
「日焼け止めだろうがなんだろうが、キッカケが掴めて良かったって話だよ」
「いや、キッカケを作ったのは佐々木さんだよ」
私の言葉を菅原くんは否定した。
「火おこしのとき、佐々木さんが助け船を出したことと、さっきまで耀さんと一緒に話していたことで近寄り難かった壁が取り払われたんだ。事実、俺が話に入る前は耀さんと秘書の方たちは佐々木さんのことを話題にしてた」
そう言うと菅原くんはバーベキュー会場に目を配らせ、男性に囲まれている里香を見つけてから続けた。