一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました

「佐々木さんにお酌している男性が多いのかしら」


蓮見さんはそう言うけど、里香は飲めなければ普通に断るし、浴びるように飲むことはしない。

そもそもお酒に関しては毎年同じ本数用意していて、足りなかったことは一度もない。

里香以外に酒豪がいるのではないだろうか。

それかお酒が飲める人が多いとか、里香以外に原因があってもおかしくない。


「ちょっと見てきます」


気になったことはすぐに確かめたい私は会場に足を向けた。

でも出くわした課長に止められた。


「用紙を集めて来ましたよ。集計の時間です」


こんな時に、と思わずにいられない。

でも課長が集めて来た用紙は現時点で誰が誰を気になっているか、自己申告制で書いてもらったもので、カップル成立率を上げるために重要な役割を果たす。

と言うのも、この用紙には現時点で両想いの場合にはハートマークを、そうでない場合でも誰々があなたを気にかけています、と書いて返却するのだ。

そのため今まで目が向かなかった人にも目が行くようになり、結果的にカップルになる確率が高くなる。

一枚一枚丁寧に確認し、記入していく作業は大変だけどその分、成果は目に見える。


「さっさと終わらせて、それからすぐに佐々木さんの様子を見に行きましょう」


蓮見さんの言葉を受けて、里香に何もないことを祈りながら作業を進めることにした。
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