一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
その瞬間、鼻先をかすめたアルコールの匂いに里香が相当量飲んだことが予測出来て泣きそうになった。


「里香って学生の頃、学級委員長だった?」


答えが返ってこないので横目で里香を伺うとすやすやと寝息を立てていた。


「どうしよう」


このまま寝させてあげたい。

でもバーベキューイベント自体は後半戦に入ったところだし、片付けも同時に始めないと帰宅時間に間に合わない。

かわいそうだけど、起こしてバスに連れて行くしかない。

そう思った時、目の前に優が現れた。


「この子、運んであげるよ」


返事をする間もなく、優は軽々と里香の体を抱き上げた。

それを見た一部の優目当ての女性からの厳しい視線。

でもそこには気付かないフリをして、優のあとを追う。


「ここでいい?」


私が頷いたのを確認した優はマイクロバスの一番うしろの座席に里香を横たわらせた。


「ありがとうございます」

「困っていたみたいだったから」


そう言うと優は寝ている里香に目を向けた。


「弟が迷惑掛けたな」

「里香は困っている人を放っておけない優しい女性なんですよ」


運転席から持ってきたブランケットを里香に掛けながら答え、優を見上げると、優は私の存在など目に入らないかのように里香を見つめていた。


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