一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
「耀のこと気になってる女性がいるって言ってたよな?それって彼女のこと?」

「え?あ、いや…それは…」


耀の情報を引き出すために課長がついた嘘だ、なんて言えない。

どうしよう。

返答に困っていると優は守秘義務があるだろうから、と妙に理解のある言い方をした。

そして里香の顔に掛かった髪を指で優しく流すと視線を里香に残したまま言った。


「俺、さっきの紙に名前書かなかったけど、この子に決めたよ」

「え?」


唐突な会話に頭が付いていってない私に優は里香を見たまま続けた。


「この子のことが気になるんだ」

「いや…」


里香は耀の恋人候補なので立候補されても困ってしまう…とは言えない。

ただただ視線が泳いでしまう。

そんな私を優はジロリと見た。


「誰を選ぶかは自由だろ?」


鋭い視線にドキッとしてしまう。


「で、でも里香はこのあとのイベントに参加できる状態じゃありませんし…」

「今日、カップル成立しなきゃいけないわけじゃないだろ?後日で構わないから彼女とのこと、取り持ってくれ。頼んだぞ」


私の肩をポンと叩き、頼りにしてると言われれば『無理だ』とは言えず。

社内恋愛を推進する身としても『出来ません』とも言えず。
 
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