一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
「優さん?」
なぜここに?
「佐々木さんのことで話があるんですって」
蓮見さんの言葉を受けて優を相談室に招き入れ、ソファーに腰掛けるよう促した。
「ご用件は何でしょうか?」
私がコーヒーを淹れている背後で先に菅原くんが話を切り出した。
「佐々木さんのことで、と蓮見さんは言っていましたが」
「あぁ。だがその前に推進課のことを聞いてもいいか?接点のない男女をどうやって恋人にするのかその方法を聞かせてもらいたい」
それはつまり優と里香が恋人になる手伝いを私たちがどの程度関与するのか知りたいということか。
これは時々聞かれる。
推進課に任せておけばいいのか、それとも結局は本人が動かなきゃいけないのか。
そこは実に曖昧だ。
規則で謳っているように基本恋愛は自由。
推進課を頼らずとも恋愛をしたければ自由にしてもらって構わない。
「それなら勝手にやらせてもらうよ。聞いて良かった。冷静に考えて変だと思ったんだ。俺に手伝いは必要ない」
そう言って立ち上がった優を急いで引き留める。
「待ってください!里香に限っては勝手に動かれると困ります。ダメなんです!」
里香の名前を強調して言えば優は腰を下ろし、話を聞く体勢を整えてくれた。