一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
余程集中しているのか私がいることに全く気付いていない。

それを良いことに顕微鏡を見ている耀の横顔を盗み見ると、今まで見えにくかった目がよく見えた。

顕微鏡を見るために邪魔な前髪を避けているからだろう。

その目はやはりアーモンド型の綺麗な瞳だった。

高い鼻筋、シャープな顎のライン。

全てが相まって整った印象を与える。

そこに顕微鏡と白衣という知的な印象が加わり、かつ、集中しているせいで少しだけ開いた口元には色気すら感じさせられる。

白衣の王子様と呼ばれている有川さんも霞むほどの美しい姿。

見れば見るほど胸がドキドキと高鳴る。

ずっと見ていられる。

ううん、ずっと見ていたい。

それほど耀の仕事をしている姿は私の目に魅力的に映った。

興奮する気持ちを抑えきれず、それでも邪魔はしないようにと鼓動よ、静まれと胸を押さえる。

すると耀が勢いよく振り向いた。


「えっ?!」


驚きの声を上げた耀と、真っ正面から視線を交える。


「…っ!」


そこで見たのはあまりにも破壊力ある美顔で、一瞬、鼓動がドクンと大きく脈打った。

その波動に呼吸が止まり、思考も動きも停止してしまった。

耀は耀で、驚きのあまり私を見たまま固まっている。

互いの動きが止まり、無の時間が過ぎる。

カタカタと風が窓に吹き付ける音でようやく時間が動き出した。


「ど、どうしてここに吉木さんが?!」


耀は横に流していた前髪を手でグシャグシャにして目を隠し、俯いて言った。
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