一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
「ひどいな。バレるのを心配してるならこうすればいいんだよ」
そう言うと菅原くんは私の背後から腰のあたりに手を回してギュッと抱き着き、密着した。
「ちょっと!なにしてんの?!」
驚きと恥ずかしさで大きな声が出てしまった。
それに里香たちが周りを見回したので、菅原くんが慌てて私の口元を手で覆った。
「く、苦し」
抱き締められている腕を叩き、離してもらう。
「大きな声出したらダメだよ」
「ごめん」
でも異性に抱き締められるなんて久しぶりで菅原くん相手にドキッとしてしまった。
今も抱き締められている腕を妙に意識してしまっている。
菅原くんは女性に慣れてるからこんなことなんてことないだろうに。
動揺してしまう自分が情けない。
経験値の差に敗北感すら感じる。
今は里香たちの会話に集中しないといけないのに、私はなに考えてるんだか。
邪念を払うように首を振り、里香と優の会話に耳を傾ける。