一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました

「なに?もしかして鈴木さんが私のこと好きとか言ってるの?アハハ。そんなはずないわよね」

「どうしてそう思うの?」


菅原くんに代わって私が聞くと里香は腕を組み、ソファーの背もたれにもたれた。


「だてに告白され慣れてないわよ。好意があるかどうかなんておおよそ分かるわ」

「じゃあ優さんはどう思った?」


里香のことを本当に好きなのか疑問に思い始めていた私は里香の経験値に聞くことにした。

でも優は分からないらしい。


「私自身が受け入れられないから気にも留めないって言う方が正しいかな。申し訳ないけど」

「では佐々木さんが先日のイベントで気に留めた方はいましたか?」


菅原くんがすかさず話を戻した。


「なぜ?」


理由を求める里香に菅原くんはスラスラとそれらしいことを話し始めた。


「佐々木さんはイベントを最後まで参加されませんでしたよね?なので最終的な確認をしませんでした。佐々木さんに好意を寄せていた方は多かったです。もしその中で佐々木さんと思いの通じているひとがいたなら、と思ったんです」

「なるほどね」


里香は菅原くんの話を聞いて何度か頷いた。

そして考える素振りも見せず、即答した。


「私は誰も気にならなかった。ただ…ううん、それより話したいことってもしかしてそれだったの?」


里香は菅原くんから私に視線を向けてきた。

それに答える前に菅原くんが里香に話し始めた。


「いえ。謝らなければならないことがあるのは本当です。先日、我々は嘘をつきました」

「嘘?」


私の心の声と里香の声が重なった。

様子を伺うように菅原くんを見ると、ほんのわずかだけど私の方に視線を寄せ、小さく頷いた。

その自信のある瞳を見て、任せようという気になる。
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