一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました

「私って親から見ても可愛くもなければ美人でもない女なんです。あ、でもそれで親から見放されたりはないんですよ?むしろ『可愛くねーな』って可愛がられているんです。ただ自分の子には可愛い子が出てきて欲しい。だから見た目が綺麗だったり、カッコいい人に惹かれるんです。きっと未来から指令が送られてきてるんですよね。見た目のいい遺伝子が必要だって」


冗談っぽくクスリと笑うも耀は何も言ってこない。

隣を伺うと、なにやら顎に手を当てて考え込んでいた。

それを見て慌てて捕捉する。


「すみません。非科学的なことでしたよね」

「いえ。大変、興味深い話です。どうぞ続けてください」


お店まではそんなに遠くない。

歩みを少しゆっくりにして話を続ける。


「正直言って見た目のいい人が羨ましいです。だから耀さんがなんで隠すのか私には理解出来ないんです」

「あ…すみません」


謝る耀に言葉を被せる勢いで首を振る。


「いいんです。話さなくても。話せないことは誰にだってありますから。ただ里香の話をしてもいいですか?」


聞けば小さく頷いた。

それを見て私も頷き、また前を向いて話す。


「里香は誰もが羨む美貌の持ち主です。綺麗過ぎて敵を作るほどに。でも絶対に女を捨てないんです」


いつ見てもメイクはきちんとしているし、寝癖がついているのを見たことがない。

服装もスタイルにピタリと合ったものを選んでいるし、笑顔はいつも眩しい。
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