一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
その視界に入るように飲み物のメニューを差し出す。


「なに飲みますか?」

「あ、ではウーロン茶で」


極端な人だ。

思わずプッと吹き出してしまった。

それに対して耀が恐る恐る私を見たので、耀の手からメニューを取り、質問する。


「耀さんはお酒に強くないだけで飲めないわけじゃないんですよね?」

「あ、はい。バーベキューの時に飲んだのはアルコールを摂取することで気分を変えたかったからですし、実際、アルコールを飲んだことで何人かの方とお話ができました」


なるほど。

推進課にはお世話は無用と言っていたけど、耀は耀なりに人の手を借りずにあの場で自分を変えようとしていたんだ。

その想いに胸を打たれ、飲み物を提案する。


「カルピスサワーはどうですか?」


これはアルコール度数が大体、3~5%だし、大抵お酒に弱い人が好んで頼むから店側も察して薄めにしてくれるとこが多い。


「氷を溶かしながら飲めば、もう少し低くなりますよ」

「あ、はい。ではそれをお願いします」


良かった。

私と菅原くんはビールにするし、あとは里香だ。


「佐々木さんは…まだ悩んでます?」


飲み物の注文にやって来た店員さんに菅原くんが注文しながら、さっきからずっとメニューとにらめっこしている里香に聞いた。


「あー、えっと、どうしようかな」


悩む里香は店員さんに何種類かある赤ワインの説明を願い出た。
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