一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました

「こちらがボルドーでこちらがブルゴーニュです」

「え?これ、ボルドーなんですか?」


里香の疑問に店員さんがハッとした。


「すみません。そちらはブルゴーニュでした。お詳しいんですね」

「好きなので」


そう言った里香の微笑みと言葉に若い男の店員さんの耳がほんのり赤くなった。

一瞬で男性の心を動かせる里香に脱帽だ。

でも里香はそれを意図してやっているわけではない。

メニューを見たまま、また別の問いを投げかけた。


「今日の料理は濃いめですか?さっぱりですか?」

「あ、えっと、初めはさっぱり目ですね。後半は濃くなります。ですので初めは軽くてスッキリとした飲み口が特徴のこちらが良いかと」


店員さんの言葉を受けて、里香は満足そうに微笑み、注文した。

それに対して店員さんも嬉しそうだ。

でも、私はどうしても気になることがある。


「里香って本当に赤ワイン詳しいんだね」


店員さんがいなくなってから独り言のように里香に話しかける。


「知らなかったよ」


耀が赤ワインを用意したと聞いた時から気になっていた。
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