一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
前菜のサラダは新鮮な海鮮が美味しいし、次に出てきたソーセージの盛り合わせはハーブが効いててサッパリとした口当たりだ。


「ハーブの薀蓄なら要らないからね」


菅原くんの牽制を分かってる、と去なすも、耀が飛びついた。


「吉木さん、ハーブくわしいんですか?」

「美羽ちゃん、ハーブの検定試験に合格したんすよ」


私に変わって答えた菅原くんに耀は小さく頷き、また私の方を見た。


「僕もハーブに興味あるんです。実はこの前吉木さんが見た顕微鏡に映し出されていたのもハーブなんですよ」

「あ、あの緑色の、ハーブだったんですか」


詳しく聞けば耀はハーブの香りや色を調べているらしい。

食品会社である当社において香りは料理を様々に演出してくれるものであり、重要だ。


「香りの成分は水の中では香り立ちがよく、油の中では香り立ちが弱くなるんです。その特徴を生かした製品の開発に今、力を入れています。あと色素も」

「レモンに入れると変わるハーブティー、今、インスタとかで有名だよね?」


菅原くんの問いに頷き答える。


「マローブルーね。レモンとかりんごの蜂蜜漬けとかを入れると青からピンクに変わるんだよね」

「さすが、詳しいですね」


研究員の耀に褒められるとまんざらでない。


「私でお力になれることがあればいつでも連絡してください」

「ありがとうございます。まだ始めたばかりで効能とかがよく分からないので」

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