一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました

低姿勢の耀に菅原くんの明るい声が重なる。

「そういうの、美羽ちゃん勉強してたもんね。もっとも美羽ちゃんが勉強してたのは失恋した人を香りで癒すためだったけど」

「あぁ。なるほど。食べ物で傷付いた心を癒す。いいかもしれません」


菅原くんの言葉に耀になにかひらめきがあったようだ。

鞄からメモを取り出し、早速なにかを書いている。


「良かったね。美羽ちゃんの資格がまた役に立って」


今日はやけに菅原くんが私を立ててくれる。

でも褒められれば嬉しい。

それにまた耀が食い付いてきた。


「また、ということは他にもお役に立つ資格をお持ちなんですか?」


これにまた菅原くんが答えた。


「夜景検定の資格を活かした‘夜景プランデート’とか、フラワーアレンジメントの資格を活かした‘プロポーズの時には自作の花束で’、とかは社員の方からも評判がいいんすよ」

「へぇ。美羽はほんと、すごいね」


それまで黙ってワイン片手に話を聞いていた里香が会話に加わった。


「里香だって秘書の資格を持っているじゃん」

「それなら美羽も持ってるでしょ。それに資格なんて役に立たなきゃ意味ないわよ」


バサリと切られ、場がしーんと静まり返った。
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