一途な御曹司に身も心も奪われ虜になりました
菅原くんの言うように体育委員もやったことはある。
でも動物が好きで、生き物係に毎年、立候補していた。
「今は一人暮らしだから飼えないけど、実家ではウサギと亀飼ってたの」
「童話じゃん」
菅原くんの笑い声が響いた。
それにつられて耀も笑った。
「いいですね。ウサギと亀」
「そういえば野田専務もたしかウサギを飼ってたはず、ですよね?」
里香は耀に同意を求めた。
耀はそれを受けて小さく頷いた。
その様子を見て、耀が野田専務と知り合いであることを里香が知っていることが見て取れた。
そういえば野田専務は耀のことを知っていた。
社長が耀に恋人を、と提案した時、無理だと言って笑っていたのは記憶に新しい。
「おふたりはどういう仲なんですか?」
このタイミングを逃してはいけない。
そう思って切り込むと里香が代わりに答えた。
「耀さんと野田専務は大学の先輩後輩なのよ。ね?」
「あ、はい。野田専務は大学の研究室の先輩です。就職後は研究者ではなく、開発の方に配属されたようですが、野田専務の論文は素晴らしいもので在学中から気にしていたんです。なので就職して真っ先に挨拶に伺いました。今ではプライベートでも時折、お話を伺っています」