普通のラブストーリーではない。
そう一番に断言できます。この作品は、ただのラブストーリーとして読むには、ちょっと重くて、そして心の奥底にある人の狡さや弱さが浮き彫りにされる作品でした。
特別に波乱のある展開があるわけではないのに、なぜか読み終わった後にはとても心が疲弊する感じがしました。それは、人の心の機微を隠すことなく、いやな部分や弱い部分も丁寧に書かれているからだと思います。
現実にはなさそうな少し変わった部署。それはもちろん仕事内容も突拍子もなくて、それほど変わらないラブストーリーのはずなのに、その先の展開が読めないところもあり、読み終わるまでこの先に展開が逆転するのではないかとドキドキの連続でした。