七つ星の約束 ~In The Darkness ~
―― V A I N ――

私は、生きている?
知りたくて、爪を剥いでみた。
痛くない…
感じない…
涙が出ない…

そんな自分が、怖かった…

だから…

体を洗った。
肌が赤くなって、血が出るくらい擦ってみた。
髪を洗った。
爪を立てて、何度も何度もゴシゴシと。
水を被った。
真水を、息が出来なくなるまで、被り続けた。

なのに…

ココロは、死んだのに
カラダは、死ねなかった。

中途半端な私は、何をしても中途半端だった。

ドラマを見ても
音楽を聴いても
本を読んでも
ライヴに行っても
友達と居ても
彼氏と居ても
家族と居ても
独りで居ても

総てが、中途半端だった…


愛されたい=愛したい
泣きたい=笑いたい
悲しい=嬉しい
辛い=楽しい
死にたい=生きたい
尽くしたい=尽くされたい
ほっておいて=独りにしないで

本当は、淋しくて淋しくて仕方ない…
強がりは、ただの我が侭。
涙は、ただの弱さ。
嘘は、ただの偽り。

精一杯、独りで生きてきた。
誰かに、頼りたいのに
頼れなくなっていた、私。

誰かに、支えて欲しいのに
支えられる事を拒否した、私。

誰かに、抱き締められたいのに
身を堅くして自分を守った、私。

傷付くコトを恐れた、私。

他人に傷付けられるなら
私は、自分自身で傷付ける事を選んだ。
自分自身で…
自らこの手で、自分自身を深紅に染めてみた。
私自身を、深紅に…



紅を見たトキ

あの日に、帰りたい…そう、想った。

でも、もう二度と帰れない。

後悔しても、あの日には
もう、帰れない…



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